【New】PAS卒後研修センター再編にあたって

 精神分析的システムズ心理療法、略してPASアプローチはPAS心理療法および教育、看護、メンタルヘルス予防に対処する総合的援助法の総称である。旧来の面接室のみに留まることなく、現代社会の中で心を組み立て直す様々な分野で実践、応用され始めた。東日本大震災以来、仙台、郡山ではPTSDの予防と治療に確かな対応を提供して来ている。その成果から、PASアプローチによるプレセラピィがアメリカ集団精神療法学会(AGPA)によるテキストに組み込まれ、また学生数が6万人に近い、中国の先進若者を育てる代表的大学、広州市の中山大学の学生相談研究所でも強い関心が持たれた。現代病としてのうつ、多すぎる自傷、自死、破壊的行動化、さらにはPTSD等の困難患者に対する精神医療に加えて一般医療の専門看護師のための系統的トレーニングの開発も進められている。

 精神医療界の国家事業としてCBTの普及が進められ、その発展とともに精神療法の従事者は急速に減少している。SNSを始め、現代の先進IT機器の普及による情報交換、共有、発進力は、コミュニケーションのスピードとその範囲をグローバルレベルにまで拡げた。このハイスピードと人が生きる上で影響を受ける領域の広がりは、人の心の凝縮性や柔軟性を発達させ、そのバランスを維持することを大変に難しいものしている。それは心と身体、「もの」と心の間にある情緒世界に対する刺激の多さ、強さに対し、それを捌き自己の筋を通して人生の喜びを生み出していく自己経営力、すなわち主体的自我の力がこれまでとは比較にならないほどに必要とされるからであろう。心身の現代病の所以がここにあることを誰もが感知していながら、その間の仕事をする精神療法家、心理療法家の減少は皮肉なことである。専門家減少の重大な要因のひとつは、我が国における体系的専門研修機会の脆弱性であることは間違いない。

 精神療法を実践する医師、高度実践看護師、病院臨床心理士、開業臨床心理士、スクールカウンセラー、学生相談心理士、臨床発達心理士、組織開発臨床心理士は、それぞれの領域専門責任がある。これを果たすための心理療法および心理療法的各種アプローチの系統だった訓練を、われわれは職種を超えて提供する態勢を整え、卒後研修センターのカリキュラムを提供している。これまでのPAS心理療法家養成の本科に加えて、その予科とも言えるPAS理論によるカウンセリングを学ぶカウンセリングコースを設置した。さらには自らの専門領域において既に実践と研究の確かな実績を有し、改めて系統的訓練の場の求め、あるいは高度の臨床研究を進める場の求めのある方々が、海外からあるいは国内から留学ができるようにポスト・ドクトラルコースも開設し、活発な客員研究員の研究活動もある。

 PAS心理教育研究所は、精神分析的システムズ心理療法および心理療法的諸アプローチの開発と実践を続け、オリジナルな日本発の処方を海外にも発信している国内唯一の心理療法の道場である。新しい時代の創造に参加する意欲を持って、共に学びと鍛錬の場を守り育てていく仲間となる受講者を歓迎する。

              2017年2月
創立理事長 小谷英文

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